«ドッペルさん ぷろろーぐ１．»

プロローグ１です。

プロローグ３まであります。

ごめんなさい。

私の父は警察官だった。
でも私の１５歳の誕生日の時、父は亡くなった。

そう、父が亡くなった日もこんな青空だった。

間

〇月×日　むかつく程の晴天

…ワープロ検定か…だるい。
私は基本単独行動派なので話す相手もいない。
先生が来るまでネットにでも繋ぐか…
そんな軽い気持ちでパソコンをいじる。

…ネットってどうやって繋ぐんだろう。
…適当にボタンでも押してればいいのかな…
自分が機械音痴なのを忘れていた。一瞬はっとなるがそのまま続ける。

とりあえずメニューを押し、それらしいものを探す。
…英語が…読めない。
そうだ。私は英語を諦めていたのだ。忘れていた。
やけくそで押す。
真っ青になる画面。
固まる私。
デスクトップに戻る画面。
…なんだったのだろうかさっきのは。
あ、先生が来た。


間


「じゃあ私ゴミ捨て行ってきます。」
「ありがとう、あ、桐生さん！髪にほこり付いてるよ。」
「そう？あ、本当だ。じゃ、明智さん行ってきます。」
掃除の時間、私はゴミ捨て担当だ。
掃除の始めにゴミ捨てに行き終わり頃に帰ってくる。

いつも焼却炉近くの処分書類入れを漁り、手頃なノートを持ち帰り自分の日記帳
やメモ帳にして使っている。


間


今日もいい紙あるかな。なんだかわくわくする。なぜかスキップをしていた。

「…ん？なんだこれ。」
処分書類入れに古ぼけた茶色い手帳があった。手帳のボタンが壊れており、新聞
をまとめる紐でくくってある。そこに万年筆が引っ提げてあり、本体は所々ふせ
んや紙がはさんであって随分年期が入っている。

…これはもらっていこう。
今日の収穫はノート２冊に例の手帳１冊、未使用のルーズリーフ５０枚くらい。
まぁまぁの収穫だ。


間


部活は剣道部。短い髪を無理矢理をポニーテールにする。
「…桐生…侍か？」
「違います。ちょんまげじゃないです。手塚さん。」
話しかけたのは手塚さん。剣道部の主将で部長。手塚さんを見るとお父さんを思
い出す。
「そんなことはどうでもいい。顧問の長谷川先生が女子更衣室を設けてくれた。
これからそこで着替えろ。」
「え、別に私いいですけど…」
「お前はよくてもだな、…さすがにもうそろそろ性別の壁を考えろ…」
「…あー」
今までそんなことは気にしてはいなかったが気付けば女子は私一人じゃないか。
「廃部になった文芸部の部室を使え。」
「はい。」
文芸部の部室は剣道部部室の斜め前。
荷物を持って移動する。
…なんか仲間外れにされた感じ…
今日の部活は６時から。まだ４時だから着替えてからの時間が空くな…
趣味の活動をしよう。あ、あの手帳を見よう。

急いで着替えて手帳の新聞をまとめる紐を解き、万年筆は自分の胸ポケットに入
れ、手帳を開く。
そこにはボールペンで殴り書きされた字が広がっていた。
「この字…どこかで見たような…」
ページをめくると一枚の封筒が床に落ちた。
拾い上げ見る。
「…桐生…修司…様？」
手紙だった。可愛い字で桐生修司様と書いてある。
そうだ、この手帳の字は父の字だ。これは父の手帳なのか。
きっとこの手紙は父が受け取ったラブレターなのだろう。
好奇心で封筒から手紙を出す。

『桐生修司様
私は貴方です
７日以内に貴方に会いに行きます。
ドッペルより』

内容は違った。ドッペル？なんだそれ。
７日以内ってストーカー予告みたいなものか。
またページをめくる。こんどは新聞記事が貼付けてある。
次のページも、次のページも。
１番最後までページを飛ばす。
「っ!?」
思わず手帳を落とす。
…血だ。１番最後のページが真っ赤に染まっている。しかも全面に。
よく見ると何かある。
恐る恐る拾い見ると
「家族…写真…」
私が中学に入学した時撮った家族写真が貼ってあった。でも真っ赤に染まってい
た。
「お父さん…」
何故だか涙が出て来た。止まらない。
手帳を胸に押し当てる。
ドアの開く音。
「…どうした。桐生。」
「…ぐすっ…手塚さん…」