«第１章 第１話「探偵」»

やっとこup。

へんなとこあったら教えてください。

－私と探偵さんは求人誌がきっかけで知り合いました－

「あーなんかいい就職先無いかなぁー」
「いや、求人誌で就職先決めるのはどうかと思うけど。普通にバイトして正社員
ーって感じじゃだめなの？」
「だめ！簡単に正社員！バイトだとすぐクビになる！」
「はーヒロって変なとここだわるよね…選択肢に私と一緒に大学行くってのはな
いの？」
「ない！勉強嫌い！…あと三ヶ月か…あと三ヶ月で決めなきゃだめなんだよ…ぐ
うーなんかないか…あ!?」
突然大声を上げる小林
「どしたの!?」
「こ…これ…!!!」
「『正社員募集　文野探偵事務所　時給３５００円　採用基準　特に無し』…ヒ
ロ…」
「ここにする！絶対ここ！ここしかない！今日帰り寄ってこ！こやみも来る!?」
涙目の明智
「ヒロっ…ぐずっ…」
「ちょ、誰！こやみ泣かせたの！！」


放課後。


「…とはいったものの…ここ…だよね…」
目の前には大きな黒いビル。ここは少し国道を外れた小さい路地。とりあえず古
ぼけた看板に『文野探偵社』と書いてある。
「か、帰ろう…かな…」
誰かにぶつかる。
「オイ。」
「ぐわっ！すいません！ごめんなさい！すいま…」
「うるさい。で、依頼人か？あんた。」
「あ、え、あ」
「なにしてるの？井坂君。」
「はっ鳩山ぁ！突然出てくんな！心臓止まるわ！」
「えへへ。で、彼女なんで倒れてるの？」
「!?お前のせいだばか！…運ぶぞ！」

         間

「…あれ…ここは…」
目を開けると屋内だった。狭くて両側に本棚が置いてあって本が詰め込まれてい
る。蔵書室…？
突然ドアが開く。
「気付かれましたか？」
こんどはスーツにレースのエプロン姿の人だ。優しそ～…じゃなくて、なんで私
はここにいるかを聞かないと。
「は、はい。すいませんがなんで私はここにいるんでしょうか…」
「えーと…どこから話せばいいのやら…あ、鳩山さん、井坂君。」
「なに？どうしたの只野君。」
あ、さっきの人だ。後ろに引っ張られてるのって口が悪かった人だ。
「この人たち覚えてますか？」
「は、はい！」
「じゃあ簡単だ。ここは文野探偵社。あなたはここに依頼をしてきたんです！」
「決め付けちゃだめでしょ只野君。」
「あ、すいません。じゃあ入社希望…？」
こくこくと頷く。
「へー！若いのにすごいね。えーと、小林ヒロさん！」
「文野さん！」
「客人って聞いたからね。僕が出ないとはじまらないだろう？で、名前は合って
る？」
「は、はい！」
なんで知っているのだろう。
「文野さんな、なんでこいつの名前が？！」
「ふっふっふ…簡単な推理だよ。君は帝国高校３年の小林ヒロさん。大体顔を見
れば僕はわかるんだよ。」
「ふ、文野さんすげー…」
「褒めたたえたまえ！はっはっは！」
「ちょっと失礼しますねー」
鳩山さん？…探偵さんの後ろに忍び寄って探偵さんの腹部を叩く。落ちる何か。
「文野さん。これなんですか？」
…私の生徒手帳…？
「あ…でっで、ヒロさんはなんでここに来たのかな!?あと、ここは狭いから向こ
うに行こう！」
「は、はぁ…」
本当にここでいいのだろうか…

蔵書の部屋を出ると今度は広い部屋だ。所々に本棚がある。
「どうぞ。」
ソファを奨められて座るとスーツエプロンの人が紅茶を出してくれた。
「あ、ありがとうございます。」
「いえ。アールグレイです。」
「で、ヒロさんはどうしてここに？依頼…かな？」
紅茶を飲みながら問いかける。
「…就職希望です。」
「ぶふっ！」
紅茶を吹き出しむせる探偵さん。
「だ、大丈夫ですかっ!?」
「だ、だ、大丈夫っ…え、えーと…時々警察に捕まるけど、いい…？」
「え、つか、まる？」
「た、只野君説明。」
まだむせている。
「はい。探偵といってもマンガみたいな展開にはならないんですね。大体が浮気
調査、人捜し…こんなデリケートな仕事なので捕まります。ちなみに私は２回ほ
ど…」
「こっほん。で、これでも入社する？給料は弾むよ。」
「は、はい！」
「よし、決定！じゃ、この紙に名前と連絡先を。」
「はい。」
私がペンを取ろうとした時ドアが開き…井坂さん？が慌てて駆け込む。
「ふ、文野さん！事件調査依頼です！」
「は!?」